子供の頃の事。
私は「スイミングスクール」に通っておりました。
富山市民プールっていう、まぁ、とっても素敵なところだったんですが。
現在の移転した後の富山市民プールとは趣が異なりまして、なんていうか、本当は
「素敵」というよりは「味がある」といった方が適切だったのかも知れない感じ
だったのですが…。
ま、そんな市民プールに幼稚園の頃から、小学生の高学年まで通っていたのです。
当時の市民プールは、今でいう「東中野公園」にあったのでして。
ここから、うちの祖母(母方の)の家まで、はさほど遠くはなく、よくプールの
帰りに母と寄ったり、一人で通えるようになった頃にも、よく行ってました。
自宅では、親の方針でほぼ飲ませてもらえないジュース(ズバリ、キリンレモンね)が
いつもありまして。
その上、プールで疲れて帰ってきた私に、よく中華そばの出前なんかとってくれたり
しましてねぇ。
なんか、子供の私にとっては、祖母の家に行くのがすごく楽しみだったのです。
正直、水泳教室なんて冬は寒いし(当然、当時は「温水」なんてものはなかった!!)、
疲れるし、いい加減あきてイヤになるんですけど、終わった後に祖母の家に行けるのが
楽しみだったりしたもので、なんとか卒業できたのが本当のところだったわけです。
運動した後に祖母の家で食べたラーメンは、本当に美味しかったなぁと、当時を
振り返ってみる今日この頃なのですが。
そこで、ふと思い出した祖母との、とある思い出を書いてみようかと思います。
祖母の家は富山の中心街、所謂「西町」からも少し頑張れば歩けるところにありまして。
まだ幼い頃の私は、なぜかその日は祖母と2人で西町へお買いものか何かに出かけました。
その帰り道、祖母が
「お腹すいたかな?」
と聞いてきたので、
「うん」
って、答えると、優しい祖母は、
「じゃあ、ちょっと寄り道していこうか?」
と、近所のラーメン屋さんへ私を連れて行ってくれたのです。
お店に入るとお客さんもいっぱいで、ただようラーメンの香りに、私のテンションも
無駄に上昇していました。
そこへ、店員さん(女性。おそらく35~40歳くらいだったと…)がやって参りました。
…ここから、劇場が幕を開ける事になってしまひます(汗)。
店員「ご注文は?」
祖母「中華2つちょうだい。」
店「はい、ラーメン2つですね。」
祖「ええ、そうそう…。」
祖「って、あ、いや、中華お願いします、2つ」
店「はイ、ラーメン2つですね。」
祖「いや、だから、中華ですって。」
店「ですから、ラーメンでしょっ。」(ムッとした面持ちで)
祖「中華だってば!!」
店「ラーメンでしょ!!」
祖「中華!!」
店「ラーメン!!」
う ぁ ~ ~、
だ れ か た す け て く だ さ い ~。
いつの間にか、ラーメン屋さんでテンションが上がり気味の私よりも、はるかに
高いレベルでの高テンション状態で、祖母と店員サンとの局地的な紛争が勃発して
います。
この意味不明な、千日手というか、ループ状況というか、壊れたテープレコーダー的な
戦いは、いつになったら終結をむかえるのか~。
周りのお客さんは、完っぺきに見て見ぬふり状態。
耳だけが大きくなっているのが、子供の私にもはっきりとわかりました。
大人って、ズルいよな…。
ってそんな事を思ってたような気が致します。
いい加減、子供心にも恥ずかしくてどうにもならず、
「おばあちゃん、中華とラーメンはいっしょだから…。」
って、エキサイトしている祖母に言いましたけどね…。
祖「アッハッハ、アアソウカ、ソウカ(苦笑)。」
ですって。
なんだかねぇ~(笑)。
そいでもって、店員さんは「それ見たことか!!」みたいな表情で、肩で風を切って
厨房の方へ消えていきました。
あとから考えてみたのですが、ほんと、一体ど~いう店員なんだよと(笑)。
祖母の勘違いもさることながら、こういう勘違いって誰でもあることではない
ですか。
それに対して、店員が突っ張り返すって、これ、どんな世界なんだろうと(笑)。
まぁ、今となっては、笑い話でしかない祖母と私との良い思い出なのですが。
今月に入ってなのですが、その優しく、面白く、ちょっと厳しかった祖母が亡く
なりました。
93歳でござりました。
天寿を全うしての大往生です。
だれが教えたのか、うちのボウズは、
「ひーばあちゃん、おほしさまになったよ~」
っていってました。
告別式を終えた夜には、暗くなった窓の外を指さして、
「ひーばあちゃんのおほしさまみえるよ~」
と、窓の外を見ながら言っていました。
お見舞いに行った時には、ウチのボウズが来ると一番喜んでいた祖母。
ひ孫になる、うちの子にだけはなにかのメッセージを送ってくれていたのかも
しれません。
という事で、ここで、一言お礼を。
おばあちゃん、お世話になりました。
本当にありがとう。
ゆっくり、お休みして下さい。